『捨て色』のもう一つの役割

『捨て色』のもう一つの役割

マーケティングに「捨て色」という考え方があります。あえて派手な色や好みが分かれる色を混ぜることで、白や黒などの定番色を相対的に魅力的に見せ、選びやすくする――いわゆる対比効果を狙う手法です。

捨て色は“売れない前提”なので、売れ筋カラーより生産数を抑えるのが一般的です。メーカーは生産にメリハリを付けることで、在庫を適正化できる。ここまでは、マーケティングの基本としてよく語られる話だと思います。

でも実は、捨て色にはもう一つ重要な役割があります。
それは 「店頭の棚をカラーラインナップで埋める」 ことです。

量販店の棚は、メーカーにとっては縄張り争いの戦場です。自社の商品で棚を埋められない“空き”ができると、そこに競合が入ってきて領地を奪いに来る。だから、売れ筋だけを並べるのではなく、捨て色も含めてカラーバリエーションを増やし、棚を面で押さえる。捨て色は、売上というより 棚の占有率を守るためのピース でもあるわけです。

ただし、この戦略は誰でも取れるものではありません。そもそも「棚を広く使える」だけの枠を持っていることが前提なので、だいたいそのカテゴリでシェア上位(1位か2位)のメーカーに限られます。棚を押さえる力があるからこそ、捨て色を“戦略として”活かせる。

最後に、消費者側の小技として。
自分が詳しいジャンルなら好きに選べますが、あまり興味がなくて詳しくないカテゴリもありますよね。そういう時に迷ったら、店頭でカラー展開が多く、棚で目立っているメーカーを選ぶと、ハズレを引きにくいことがあります。派手な色が並んでいるのは、単なる遊び心ではなく、「そのメーカーが棚を握れている」というサインかもしれません。

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