そろそろ旧正月(春節)の季節です。日本のニュースだと「インバウンドが増える」みたいな話で取り上げられがちですが、製造業側の人間からすると春節は“観光イベント”というより サプライチェーン全体が一度リセットされるタイミングです。
会社(オフィス)単位の連休は、意外と「数日〜1週間程度」とそれほど長くはありません。ところが実務で効いてくるのは、工場だけではなく、部材メーカー、外注加工、検品、梱包、内陸輸送、港、通関、そしてフォワーダーまで含めた“物流と人のつながり”のほうです。ここが分断されると、結果として 約1か月単位で影響が出ることが珍しくありません。
なぜそんなに長引くのか。理由は単純で、春節は「人が動く」からです。
多くの現場スタッフは帰省します。帰省=移動が伴うので、休みの前後の稼働できる人の人数が極端に減り確保できるリソースが読めなくなります。休み直前は「片付け・出荷優先」で新しい案件が止まりやすく、休み明けは「人が戻りきらない」「立ち上げに時間がかかる」「混雑で物が動かない」という三重苦が起きやすいです。
ここに物流が絡んできます。ここがさらに読みにくい。
休み前は駆け込み出荷で倉庫も港も混み、便が取りにくくなります。休み中は当然止まり休み明けは世界中が同じタイミングで動き出すので、フォワーダーやトラック、コンテナ、船腹、通関がまとめて詰まります。“再開したのに流れない”状態が発生しやすいんですね。
つまり、オフィスのカレンダーだけ見ていると「そんなに休んでないじゃん」と思いがち。でも現実は、サプライチェーンは一本の鎖です。どこかが止まると、全体のリードタイムが伸びる。そして春節は、その“止まる点”が複数同時に発生する。
製造業で春節対応が大事なのは、気合ではなく設計です。
納期に余裕を持っておく、前倒しで部材を押さえる、代替ルートを準備する、緊急輸送の費用感を先に持っておく。春節は毎年必ず来るので、イベントとして騒ぐより季節要因として織り込むのが結局いちばん強いです。
インバウンドも大きいですが、裏側では今年もまた、世界の製造と物流が“春節モード”に入ります。製造業の現場では、この時期は「休み」ではなく「段取りの季節」です。