「〇〇〇税」の一言で片付けにくい話

「〇〇〇税」の一言で片付けにくい話

「〇〇〇税」の一言で片付けにくい話

PCパーツ等が高い理由として、ネットではよく「〇〇〇税」という言葉が出てきます。代理店がメーカー品を国内に流通させ、量販店へ卸す。その過程で価格が上がる——という理解です。
この話は「誰が悪い」という方向に流れやすいのですが、今回はそこから一歩引いて、中立の立場で、商流の構造として整理してみます。

というのも、私自身の感覚として、立場が変わると見え方が変わるからです。
一消費者としては、適切な為替レートが反映され、円安傾向でも販売価格が適正に維持される状態はありがたい。
でも、同種のビジネス運営している立場で見ると、代理店がコストを織り込んで価格を作る事情も理解できる。
この両方を前提に書きます。


まず「為替より高い」には理由がある

代理店はメーカーから仕入れて量販店へ卸す立場です。ここで日本特有の商習慣としてよく挙がるのが、返品まわりのコストです。

日本の量販店は、購入者にとって返品・交換のハードルが比較的低いことが多い。これは消費者目線だと安心です。
一方で、「相性」「思い込み」「取り付けミス」など、本来“初期不良とは言い切れない”ケースでも返品として処理されることがあり、その返品が代理店側に戻ってきます。検品、再販可否の判断、メーカーRMA申請、在庫処理……こうした手間は、全部コストになります。

さらに、旧商品の最終処分局面で発生する「価格補填」もあります。新製品が出ると旧製品は値下げが必要になり、その時に量販店を支援する形で代理店が原資を持つケースが多い。これも“最後に効いてくるコスト”です。

このあたりはネットでも比較的語られている話で、代理店側はこうした費用を見越して、為替換算より高めの価格設定になりやすい、という整理になります。


あまり表に出にくいのが「値上げが通りにくい」という現実

ここから先は、あまり語られてこなかった部分です。
代理店が円安などを理由に値上げを相談しても、量販店がすぐに応じないことがある——という点。

理由はシンプルで、量販店は基本的に売価を上げたくない。売価を上げれば売れ行きが落ちるリスクがあるし、他の競合量販店との価格競争にも不利になる。消費者としては、ここはありがたいところです。

ただ、量販店側にはもう一つ事情があって、値上げには社内システムのマスター価格変更や決裁が必要で、その決裁権が事業部長や役員クラスにあるケースも多い。現場担当の「じゃあ上げましょう」で動けない。つまり、量販店のバイヤーにとっても値上げは心理的にも手続き的にもかなり重い判断となります。

その結果、代理店側は「円安が進んでも、数か月は値上げせず耐えられる価格」にしておかないと、都度交渉で詰んでしまう可能性が出てきます。
消費者から見ると「最初から高くしてるじゃん」なのですが、事業者側から見ると「すぐ上げられない前提の保険」として設定している面がある、という話です。

もちろん中には「それはやりすぎでは?」と思う価格が設定されているのを見たことはあります。ただ、構造としては“誰かの悪意”というより、商流にある摩擦が価格に乗っている、と考えるほうが実態に近い気がします。


ありがたい面と、苦しい面が同居している

●量販店が値上げに慎重なのは、消費者にとってはメリット(買いやすさが維持される)

●一方で、返品対応や価格補填、値上げのタイムラグを抱える代理店は、事業としてリスクを価格に織り込まざるを得ない

●その結果として「為替より高い」に見える価格が生まれやすい

結局のところ、「〇〇〇税」という一言は分かりやすいので独り歩きしている気がします。
買う側の“ありがたさ”と、回す側の“しんどさ”が同居している——そう捉えると、少し冷静に見られる話かなと思っています。
この問題、売価を「USドル」で設定してお客さんも「USドル」で支払うと一発で解決できるのですが、今度はお客さんが「為替リスク」を負うこととなってしまいます。
もしくは世界で「日本円」の決済通貨としての存在感が増し、「日本円」で海外から輸入できるようになる。
海外からの個人輸入に抵抗が無い方も増えてきていますので、ひょっとしたら「日本国内の小売だけど輸入商品はドル決済」は今後少しずつ出てくるかもしれませんね。

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